2009年10月29日木曜日

芸術はtoolとともに進化する

 
Online Audio Workstationとも言える「 Hobnox Audiotool」

最近、2つの衝撃的な音楽制作ソフトに出会ったのでちょっと紹介。
ひとつは、iPhone 用のもので、Matrix Music Pad。有料アプリ(確か225円だったような)ですが、これは本当に面白いアプリです。画面上に光る3つの玉を触ることにより音が変化していくというも ので言葉で説明するよりも動画を見た方が早いです。シーケンスモードでは自分で音の編集ができます。これを使って、今流行のファミマの入店音を鳴らしてみ たり、Perfumeの楽曲を鳴らしている動画も見受けられます。実際に使用してみると、これはかなり「はまります」。面しれええーーー!
今まで数多くのiPhoneアプリをダウンロードしてきましたが今のところbestのアプリと言えるでしょう。
てなことで、MMPを楽しんでいたところ、ウェブで紹介されていたHobnox Audiotool(http://www.hobnox.com/index.1056.en.html)なるものをみて、さらにびっくり!ウェブでしかも無料で普通の音楽制作tool が利用できるのです。さあ、これを使うと簡単に楽曲が自分で制作できるぞーーー、といってもまあそんなに甘くはないでしょう。でも基本的なtoolがそ ろっているわけですから音楽創作の基礎知識がある人なら少し勉強すればできるようになるのは確実です。自分がもし学生ならおそらくはまってしまうだろうな あということは容易に想像できます。そして、引きこもりの道をまっすぐ・・・だな、こりゃ。大学生時代に、コンピュータがマイコンからパソコンとなり、わ たしはPC88を購入して、basicなどを勉強しつつ流行りだしたコンピュータゲームそれもロールプレイングゲームにはまっていました。当時は、DTM などはまだでシンセサイザーなど高価でとても試してみようなどという考えは一切過ぎりませんでした。当時にこのような音楽制作アプリが簡単に手に入ってい たらもうはまりまくりなのは目に見えてます。それがいいことなのかそうでないのかはわかりませんが・・・。でも正直、昨今の学生たちが羨ましく思われま す。こうやって創作のためのいろいろなtoolが簡単に手に入り、それを発表する場も数多く存在する。プロになれるかどうかの敷居については今も昔も同じ かもしれませんが、チャンスは圧倒的に現在の方が多いように思われます。
で、いわゆる芸術はその制作tool によって進化もしくは変貌していきます。音楽は楽器や制作システムの進化によって明らかに変化しておりますし、建築などもその素材の進化とともに建造物自 体の外観がどんどん変化してきています。genotype(遺伝子型)は同じでもその発現過程を司るtoolというhardによって、その phenotype(表現型)が変化していくというのが多くの創作物(もちろん人間も含む。芸術もそうである)の特徴ではありますが、そのhardたる toolがまったく変化していないというか変わりようがないのが文学です。と思いましたが、違いますね。昔は筆や万年筆、鉛筆で原稿用紙に書かれていたも のが、ワープロ(もしくはPCでのワードソフト)へと変わり、確かにこの時点で文学作品そのものにも変化が生じてきたように思われます。そして、ワープロ からネットへと繋がったPCへ。このへんの変化について論じている文学論ってあるのでしょうか?手書きからワープロへの変化については数多く論じられてき ましたが、ウェブ2.0への変化について文学の変容を論じたものはあるのかなあ・・・あるような気がしますので探してみます。このあたりを自覚して作品を 作った作家はいるのかなあ・・・まあ、わたしがそうですが・・・ほかにもいるでしょうね。
ということで、本当は音楽はその制作tool の進化とともにどんどん進化していきますが、文学は制作toolが「書く」ということだけで進化のしようがないので、ある意味、テクノロジーに準拠しない 根源的な芸術ではありますが、しかしもう衰退するだけの運命にあるのかもしれないということを書こうと思ったのですが、そうではないことがわかりました (思い違いかもしれませんが)。自分自身のことを顧みてもそうです。一番初めに書き始めた時は、それこそ原稿用紙に鉛筆で傍らには国語辞典でしたが、今は ネットに繋がったPCでonlineで音楽を聴きながら分からなければウェブで調べて、文章自体もウェブからコピペ!方言なんて方言変換ツールがウェブに おちてるし・・・・。あーーー、かなり違うわ・・・・と思うことしばしば。こういうテクノロジーを満載した新たな文学の誕生を期待します(って、自分がや ればいいことなんですけど)。


2009年10月13日火曜日

human is superior to vocaloid?

  
以前にボカロのことを取り上げましたが、そのボカロの名作として暴走Pさんの「初音ミクの消失ーDead End−」という作品(http://www.nicovideo.jp/watch/sm2937784)があり、昨年4月にupされて現在までに既に200万を越える再生数を記録しておりますが、この作品から派生したものとしてkinetic typographyを使ったすばらしいPV(http://www.nicovideo.jp/watch/sm7902754)も作られ、また、これを人間が歌ってみたという作品も何作か作られたのですが、歌詞が滅茶苦茶早いのでなかなか人間ではうまく歌えない、うまく再現できないというのが現実でした。しかし、今年9月になって恐るべき作品がup されました。それが、「弟の姉」が歌う「初音ミクの消失」です。これより1ヶ月前には、「出だしだけを歌ってみた@弟の姉」というものがupされており、 そこではなんとか出だしの部分だけうまく再現できている(しかし完璧というほどのものではない)のですが、ともかくこれがfull versionになったらどういうものになるかと期待させるようなものでした。で、ついにupされた「初音ミクの消失-DEAD END-を歌って観た@弟の姉」(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8236224) 一聴して唖然とするほどの完成度をもったものでした。初音ミクとほぼ同じ、いや、まったく同じ、いやいや、それを越える音質を持った歌が脳髄に突き刺さっ てきたのです。あーー、やっぱ、人間はすげえーー、と単純に感心してしまったのです。でもこれは無編集なのでしょうか?やはり少しは編集してるような気も します。でもそんなことはどうでもいいことで、今では「初音ミクの消失」を聴くときは、この弟の姉さんのバージョンを聴いてます(動画もkinetic typographyのもですし)。ひとつの作品がオリジナルの手を離れてどんどんと洗練されて変化していく様はすばらしいですね。そしてこの様をきちん と目撃されているならオリジナルの作者もおそらくその様々な変貌にうれしさはあれど、不愉快な気持ちはないと思われます。Supercellが自分の作品 を既存メーカーからCD発売する時にこの著作権の問題がかなり問題になったそうです。ニコ動から生まれたSupercellは勿論自分たちの作品の二次利 用はOKというスタンスですが、既存のマーケットではそれは許されない。あの悪名高いJASRACと契約しないといけないという話です。結局、 SupercellはJASRACとは契約していないそうです。ニコ動のような音楽環境および動画環境が広まれば、そりゃあ既存音楽業界が出す作品は衰退 していくだろうなというのは容易に想像できます。これからは音楽制作者が直接視聴者に作品を呈示し、視聴者はiTune等を介して直接制作者から楽曲を買 い取るということになってくれればなと思います。実際、わたしも好きなボカロ制作者のアルバムがiTuneで購入可能な場合はほぼすべて購入しています。 
で、話は元に戻って、この弟の姉さんがついに顔出ししてしまいました(「Lovin` Youを歌ってみた〔一発録り)@弟の姉」(http://www.nicovideo.jp/watch/sm8451230))。で、この動画のコメントで弟の姉さんが黒澤まどかという音楽家であることがわかりました。ググるとHP もありブログもありました。鍵盤弾き語りということでライブも多数こなされています。HPにはオリジナルの楽曲もupされております。ここまでわかってし まうとおそらくニコ厨にとってはゲンナリしてしまうことになるのかもしれません。「なんで顔出しした」という批判的なコメントも見受けられます。でもまあ 美人ですし、今後の活動のことを考えても正体明かしてもいいのではないかなと思ったりします。なにせ黒澤まどかさんのHPにupされている曲とニコ動に upされている弟の姉の作品とのギャップがすごすぎる。で、おそらくニコ動路線の方がミュージシャン黒澤まどかにとってもいいのではないかと思えるので す。ともかく今度はニコ生☆生うたオーディションに出場するようですから今後のさらなる飛躍を期待したいと思います。
弟の姉が歌う衝撃的な
「初音ミクの消失」。