2019年8月26日月曜日

中国SF




三体』(さんたい)は、中華人民共和国のSF作家劉慈欣の長編SF小説。
2006年5月から12月まで、中国のSF雑誌『科幻世界(中国語版)』で連載され、2008年1月に重慶出版社によって単行本が出版された。本作は「地球往事」三部作の第一作である。
本作、またこれを含む「地球往事」三部作(『三体』三部作ともいう)は中国において最も人気のあるSF小説の一つとされ、2015年時点で50万組以上を売り上げている。また、本作は2014年11月にケン・リュウによる英訳が出版され、これも複数のSF賞にノミネートされるなど高く評価されている。
2015年ヒューゴー賞長編小説部門賞をアジア人初の受賞。

今話題になっている劉慈欣の小説「三体」を読了し、また劉慈欣原作を元にした中国SF「流転の地球」をNetflixで観た。
まずは「流転の地球」だが、これはたまたまNetflixを覗いたらオープニング画面に出てきて、中国SFとはどんなものか興味をもったのですぐに視聴した。内容は太陽の赤色巨星化から地球滅亡を予測した人類が1万個のエンジンを建設し、その出力をもってして地球ごと太陽系を離脱する計画を実行に移すというもので、幼い頃に観た「妖星ゴラス」を思い出されるストーリーだった。といっても「妖星ゴラス」はそのエンジンが南極にあり、また怪獣や宇宙人も登場したりで子供向け映画に過ぎなかったが、この「流転の地球」は大人向けの立派な映画であり、ハリウッドSFを彷彿とさせる内容だった。アジア人がSF映画の主役をはっても何も可笑しくはないことを初めて納得させてくれた映画であった。とはいってもストーリーはかなりご都合主義的で、そこもハリウッドSFを律儀になぞっているのである。結構ツッコミどころ満載ではある。それでもまあそこそこには面白かったのでよしとしたい。ちなみに中国では大ヒットしたとのこと。
SF小説「三体」も滅茶苦茶話題になって、日本でもすでに10万部売れたなどといわれているが(日本でSF小説で10万部というのはとてつもない数字なのです)、それに多くの批評家やら有名人(なんとオバマ元大統領までいる)が大絶賛しているのをみて、わたしも読まざるをえない気持ちになった。
で、kindle版もあったのですぐに読んだが、確かになかなか面白いのではあるが、最終部の三体人の叙述の部分があまりに難解というか人類っぽくて、そこがなんとなくひっかかってしまい、大絶賛というまでにはいかなかった。これはそもそもわたしがハードSFにはあまり向いていないためだと思われる。イーガンがそれほど面白いと思わないわたしにとって、劉慈欣はイーガンと同じ存在なのかもしれない。でもこの二人の作品が似ているという意味ではなく、わたしからの距離が同様に離れているという意味である。
ということでまとめると「流転の地球」も「三体」もそれなりに楽しめ、今後の中国SFの発展に期待すること大なのであるが、かといって熱狂するほど気に入ったわけでもなく、まあそんなもんかというつまらない感想をもっただけである。
ただ、「三体」の映画化には興味津々である。読了して、この「三体」の世界を映像化することには非常な興味をもった。どんな映像になるのであろうか?それほど「三体」のなかで描かれる世界は謎の多い、極めて解釈多様な未知のものである。映画化は着実に軌道に乗っているらしいので期待したい。でもおそらくできた映画をみて、絶望する自分の姿も容易に想像できるのであるが・・・。