2012年7月9日月曜日

ヤンデロイド

ヤンデロイドとは、“病んでるVOCALOID”の総称である。

最近、このヤンデロイドの楽曲を多く発表しているselePというボカロPさんに夢中になっています。もともと、ヤンデレというカテゴリーには興味があり、東方キャラでもこれをヤンデレに改変したら面白いだろうなというのはあったりしたのですが、まあ心中で思うだけで、現実のヤンデレにはできれば会いたくないなというのが本音です。
で、このselePさんのヤンデロイド曲は、B級臭がとても強く、わたし好みの楽曲に見事に仕上がっています。映画にしても小説にしても、この「B級」という表現はわたしにとっては賛辞といえるものですので、間違えないようにしてください。B級映画監督園子温は大好きですし、同様にB級映画監督ジョン・カーペンターも大大大好きです。で、キューブリックは特A監督で、タルコフスキーも特A、小津も特A、フェリー二とルコントはA級で、長谷川和彦は特B!なんて勝手なことを書いてますがそれぞれの確たる根拠などはありません。
まずは、selePさんの最新作をどうぞ!


 
IAオリジナル曲 『Re;BIRTH』

なんというかこの導入部の安っぽさ(失礼・・)というか軽快さはすばらしいではないですか!!もう最初から心ウキウキです(笑)。で、ヤンデレの歌詞がPCゲームのBGMのようなメロディーにのせてボカロによって歌われていく・・・うーーー、言うことなしです。すばらしいです。特に、ヤンデレのような一見冷たく感情のない表現には、ボカロが合っているのですね。
ヤンデロイド最強!です。
でもヤンデロイドで動画をググるとちょっと傾向の違う楽曲が沢山抽出されます。歌詞は確かにヤンデレですが、メロディーは普通というか、東方してません(笑)。そうです、selePさんのメロディーは東方のZUNさんに通じるものがあるのです。アリプロっぽいと指摘する声もありますが、まあ似たもの同士ということでいいのかもしれません。ですから東方がヤンデレに向いているのも理解できるのです。ローゼンメイデンってヤンデレでしたっけ?
ともかく、わたしにとっては、selePさんこそ、ヤンデロイドを最も的確に表現するボカロPということになります。ということで、もう一曲。

 VOCALOID IA『Ref-Rain』

なんか最初の曲と似てますよね。
ニコ動ではselePさんの曲(50曲あまり)をすべて聴くことができます。で、聴いてわかることはすべての曲にseleP節という通奏低音というか同じ血が流れているということです。以前紹介したボカロPのシオンさんもそうでした。これは創作者にとっては否定することのできない宿命です。Phenotypeが変わってもGenotypeはいっしょのため、そこに流れる根源的な共通項がどうしても観察者に嗅ぎとってしまわれる。それゆえに、絶大なる支援者というのが付くわけです。この創作におけるGenotypeというものにどこまで惹きつけられるか、それがその作者をどこまで好きになるかということと結びついています。
作家でいうとこれは文体になるのかもしれません。この文体をいじった面白いコピペが以下のものです。有名なので皆さん知っていると思いますが、敢えて転載しておきます。

 ◆小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚きながら振り返った。」
◆ケータイ小説 
 「ドカーン!びっくりして俺は振り返った。」
◆ラノベ
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とか
そういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである」
◆山田悠介
「後ろで大きな爆発音の音がした。俺はびっくりして驚いた。振り返った。」
◆司馬遼太郎 
 「(爆発--)であった。余談だが、日本に初めて兵器としての火薬がもたらされたのは元寇の頃である…」
◆荒木飛呂彦
 「背後から『爆発』だアァァァッ!これを待っていたっ!振り返ると同時にッ!すかさず叩きこむ!」
◆村上龍
「後ろで爆発音がした、汚い猫が逃げる、乞食の老婆が嘔吐して吐瀉物が足にかかる、
 俺はその中のトマトを思い切り踏み潰し、振り返った。」
◆奈須きのこ
「爆発があったのは昨日のことだっただろうか。
――突如、背後から爆発音が鳴り響いた。その刹那、俺はダレよりも疾く振り返る―――ッ!」
◆矢口真里 
「子供の頃からボンバーマンが大好きで、爆発音がしたらつい後ろを向いちゃうんです。多分、芸能界では一番マニアックなボンバーマン好きだと思いますよ。
◆京極夏彦
「凄まじい音とともに地面が揺れる。――爆発、ですか?私が問うと、
 彼は白湯とさして変わらぬ出涸らしをすすり、
――だから何だと言うのか。と答えた。りん、と、何処かで風鈴の音がした。」
 ◆村上春樹
「爆発というものを想像するとき、
僕は夏の夜に流れる星のイメージに捕らわれる。
それは恐ろしく儚く、そして短い生命なのだ。だから、僕は常に混乱する」
 ◆夢野久作
「……ドオオ―――ンンン――――ンンンン……………。
いやいや。バクハツだバクハツだ……そんな馬鹿な……
不思議な事が……アハハハ……。
私は振り返り、思わず笑いかけたが、
その笑いは私の顔面筋肉に凍り付いたまま動かなくなった。」
 ◆夏目漱石
「後ろからぼかん、という音がした。
我輩はまた白君がどこぞの酒屋の一斗缶を倒したのかとおもうと、
どうもちがうらしい。
ちらと音のしたほうを振り返ると同時に、
硝煙が我輩の鼻をくすぐった。」


いかがでしょうか?
なんかうまく特徴をとらえているような気がします。これすべて一般の人の創作です。一般といっても何が一般なのかわかりませんが(笑)。
話が変な方向へ向かってしまい、すいません。で、元に戻すべく、もう一曲紹介。これは最近ニコ動でランキング上位になったボカロです。

 
【初音ミク】こちら、幸福安心委員会です。【オリジナル】 
 
すごくありません?
本当はニコ動でコメントといっしょに視聴する方がもっともっと感動するのですが、とにかくすばらしいです。で、こういう曲がまだランキング上位に来るということはいまだにニコ動会員のレベルの高さを保証しているような気がします。ニコ動の会員数もかなり増えたので最近のランキングに上がってくる作品の質の低下を危惧していたところなのですが、まだまだ大丈夫みたいです。まあそれよりランキング上位にはない、一部のマニアにのみ指示されている珠玉の作品を見つけることがニコ動の醍醐味なのですが。そしてそういうものが必ずあるというのが、既存メディアとの違いといえます。
なんともとりとめもなく駄文を書き連ねてしまいました。
今回はこのあたりで。