2015年5月5日火曜日

誰がゴジラを殺すのか?

 ゴジラは、日本の東宝が1954年に公開した特撮怪獣映画『ゴジラ』に始まる一連のシリーズ作品及び、
それらの作品に登場する架空の怪獣の名称である。
これら一連のシリーズ作品のことを「ゴジラ映画」と呼ぶこともある。
写真は昨年公開されたハリウッド制作のゴジラ。

素晴らしい作品に接して、その感動を伝えたくてブログを書くというのが一番健全で良い書き方と思えるのですが、最近はそのような素晴らしい作品にはなかなか巡りあうことができず、この連休中も家でごろごろしながらWOWOWで放映されていたゴジラシリーズを漫然と観ていました。ゴジラシリーズは大体観ていたと思うのですが、90年台に大森一樹が監督し、それなりに期待したものがあえなく全滅というか悲惨な作品に仕上がってしまい、爾来、大森一樹とゴジラシリーズを見放してしまっていました。
ですからミレニアムゴジラ以降は観ておらず、今回WOWOWにて幸か不幸かミレニアムゴジラ以降の作品とこれも不幸か不幸かまさに不幸にも「ゴジラ対スペースゴジラ」を観てしまったのでした。
まず初めに言っておきますが、わたしにとってはゴジラシリーズは糞!です。唯一許せるのは皆さんご承知のように、第一作「ゴジラ」のみです。もっと敢えて敢えて許せるとしたら「ゴジラ対キングコング」「ゴジラ対モスラ」のみで、これはわたしが初めて観たのが小学生だったのでかなり印象深く残っており、要するに年代の影響でちょっといい感じの記憶で残っているだけで、実際に今、この2作を観るとガッカリするだろうことは想像に難くありません。そういえば「ゴジラ」を米国留学中にTVで観たのですが、あちらの「ゴジラ」には新聞記者役の米国人がオリジナルの画面に挿入されており、その新聞記者の解説で物語が進行していくのです。これにはびっくりでした。おそらく、当時では米国人の登場しないアジアのエンタテインメント映画なんて米国人には想像もできなかったのでしょうね。ですから力づくでも米国人キャラを物語に挿入してしまった。おそるべき米国。おそるべき時代です(昔はおうおうにしてそうだったんですよねえ。そんな時代背景も知らずに現代の価値観で昔を断罪する馬鹿が多くて困ったものです。なんのことかは敢えて言いませんが)。
わたしにとって着ぐるみゴジラは糞です!
ですから98年のハリウッドゴジラは、わたしにとっては素晴らしい作品でした。もちろん、あれは単なる爬虫類あるいは恐竜でゴジラではないという誹りは甘受しますが。確かにゴジラは普通の生物でしたが、それはそれでよかったです。そして、それゆえに人類の通常兵器で十分に対処できるという設定もまさにリーズナブルに思えました。
日本のゴジラシリーズで、最後にゴジラが死んだのって、おそらく第一作「ゴジラ」だけではないでしょうか?後の作品はすべてゴジラは死ぬのではなく、どこともなく姿を消すだけであったような。もうどんな新兵器で攻撃しようが、どんなすごい怪獣が出てこようが、どうせゴジラが死ぬことなんてないんだろうなというのが共通認識になっているような気がします。あーー、バカバカしいwww
で、今回のWOWOWで観たゴジラシリーズ。最初に観たのが、ゴジラシリーズ史上最低という噂の「ゴジラ対スペースゴジラ」(94年作)でした。そういう噂などまったく知らずに観てしまったため、この作品を観ている最中に「これは冗談で撮っているのか?」「あの名優柄本明は冗談で演技しているのか?」「モゲラって冗談で命名しているのか?」などと何度も何度も「冗談か?」という言葉が頭に明滅しましたwwww
まあでもゴジラシリーズ自体が殆どの作品がチープな脚本で、あからさまに子供相手のレベルを目指しているようなものですので、全体の作品レベルはとても低く、その中では傑出して低いというわけではなく、ゴジラシリーズの中でもやや低いくらいという感じではあるのです。まあ良いように評すれば、「いつもの糞ゴジラでつまんねえ」となります。
次に観たのが、「ゴジラ対メカゴジラ」(02年作)と「ゴジラ対モスラ対メカゴジラ」(03年作)。つまりメカゴジラもの。このメカゴジラというのは74年と93年にも作られているという人気ネタなのですが、74年と93年のはまあつまらん糞ゴジラシリーズの平均的なつまらん作品という印象しか残っていません。そもそもメカなんとかというのは、「キングコングの逆襲」(64年作)のメカ二コングが最初だったような。ですからメカゴジラってのは所詮二番煎じだったのです。
ですが、この2000年以降のメカゴジラは前2作よりはうまくできていました。それはなぜかというとメカゴジラを「3式機龍」と呼称するように、要するにメカゴジラをパトレイバーにしてしまっていたのです。これならなんとなくリアリティが増してきます。わたしはパトレイバーは好きでしたので、なんとなく「3式機龍」には好感がもてました。
しかし、しかし、脚本全体はやっぱご都合主義で、甘い甘いwww
いつもの糞ゴジラシリーズの作品に間違いなく、やや上位には位置しますが、まあ映画作品としては糞の部類に属するものに違いありません。
で、最後に観たのが「ゴジラFinal Wars」。
これはゴジラ生誕50周年を記念して作られた最後のゴジラ作品というものです。
監督は北村龍平。ハリウッドから出てきた監督で「ヴァーサス」はあのゴダールから引用されたということです。わたしは「あずみ」は観ていますが、他の北村作品は観ておりませんのでなんとも言えないのですが、まあとにかく最後のゴジラは、まったくこれまでのゴジラを無視した北村ゴジラになっており、これはまさにゴジラファンにとってみればゴジラシリーズを冒涜した作品となるのですが、そもそもゴジラシリーズを糞だと思っているわたしにとっては北村監督はまさにゴジラシリーズに最後の鉄槌を下したに違いないと思え、もしかしてこれは偉業に他ならないのではと思ったりもするのですが、しかし、作品中に散りばめられたチープな劣化ハリウッドアクションとかギャグとか糞メタな脚本とかぬいぐるみのようなミニラとか(まあいつものことですが)、細部をみると北村監督は単に馬鹿なだけのように思えて、これはこれでゴジラシリーズが自ら北村監督を最終監督として呼び込んで自死したのであろうなと思うのでした。
で、最後のゴジラ作品であるはずの「ゴジラFinal Wars」でもゴジラは最後にミニラとともに海に帰っていくのでした。
ということで、結局、いつゴジラは殺られるのでしょうか?
わたしはそろそろ誰かがゴジラに終止符をうって欲しいのです。
ハリウッドゴジラも14年版の中途半端な出来(それでも東宝ゴジラシリーズよりはずっとずっとよくできている)を見るにつけ、ハリウッドゴジラも死ぬことはないような気がします。そもそも日本に気を使って、ハリウッドがゴジラを作品のなかで殺すことはできないでしょう。殺すことができるのは東宝だけです。
で、東宝ゴジラの新作、そう庵野秀明総監督と樋口真嗣監督によるゴジラに期待しようではありませんか!
あーー、なんかでも裏切られそうな気がするなあ・・・。
そうこの二人による短編「巨神兵東京に現る」を観ているからなあ・・・。
ミニチュアと着ぐるみ絶賛してたしなあ・・・その線でやるんだろうなあ・・・。
それではCGのリアルゴジラにはどうしたって勝てないよ。
というか着ぐるみゴジラではもう観賞には耐えられないよ。
着ぐるみゴジラこそ真のゴジラというゴジラ馬鹿にはうれしいだろうけどね。
90年代にわたしが書いた「電脳言語」という拙文で、邦画で観賞に耐えうるSF映画は可能かということを論じているのですが、現時点ではほぼそれは不可能になっています。で、怪獣映画も昔は邦画の独壇場であったはずですが、ハリウッドがどんどんと進出してきて、この怪獣映画でさえも邦画であることは滑稽なことになってきています。
こりゃあ駄目だ、邦画・・・。
やっぱアニメだけがなんとか生き残っていくのでしょうか。
あっ、そうだ、最後に人間ゴジラ長谷川和彦の新作に期待しよう!(と思って40年経過)www