2010年3月12日金曜日

千の風にのって


 
天漢日乗さんの3月11日付のブログ(http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/)で、「千の風にのって」という詩に関する剽窃問題がとりあげられていました。
要約すると数年前に流行った「千の風にのって」という詩の邦訳は新井満ということになっているが、元々は南風椎さんという方が1995 年に訳し出版したものであり、邦訳そのものは細部に違いはあるもののほぼ剽窃といっても問題ないレベルであるということ。南風さんと新井さんは知己の間柄 であり新井さんは事の成り行きに対して南風さんに謝っているということ。にもかかわらず、新井さんはどうも恥も外聞もなくそのことを公表することなく未だ に「千の風にのって」関連ビジネスでしこたま儲けているとのこと。だそうです。で、このことに対して南風さんからの直接的な反撃がかれのブログ(http://blog.greetings.jp/?cid=6)から開始されたようです。第三者にとってはまさに「めしうま」状態です。
わたしが思うには、新井さんは「千の風にのって」がここまで大流行するとは思わず、まあ南風さんの邦訳をちょっと借りて楽曲「千の歌にのって」をつくって自 分の知人たちに配っただけのことかもしれません。剽窃といえば確かに剽窃ですが、それを自分で曲にして友人に配るくらいならこれくらいの剽窃は確かに許さ れてもいいのではないでしょうか。勿論、その場合でも知己であるなら常識的には南風さんにはその旨の連絡は入れるとは思いますが(実際はそんなことしてな いようです。よくそれで電通マンやってられたなあ)。とにかく、新井さんの仕事は新井さん自身の予想に反して大きくなっていったと。紅白歌合戦にまで「千 の風にのって」は歌われるようになってしまった(そうです。というのはわたしは紅白歌合戦を観たことがないのでしりません)。南風さんのことに言及しなく てはいけないのに、事が大きくなりすぎていつのまにか言う機会を失してしまった。でも南風さん本人には知己でもありなんとか詫びを入れたというのが実情で はないでしょうか。新井さん自身にも当初はそれほど悪意のようなものがなかったのではないでしょうか。南風さんのすばらしい「1000の風」の邦訳に感動 し、素直にそれをまねて歌詞にして曲をつけた。歌詞以外の曲自体は新井さんのオリジナルですからこれはなにか非難を受ける余地はないと思われます。自分の 身内だけで楽しめればと思っていたら事態は思わぬ方向へどんどんと大きくなっていった・・・。あーー、やっちゃったよ・・・あの時、あの時点で言ってたら こんなことにはならなかったのに・・・というやつですね。これは。で、これはかなり好意的に新井さんの事情を推察したものです。だって、「千の風」でいく つも商標登録してるって、あんたは何?って言いたくなりますよね。上に貼った日本酒「千の風」満って、いったい・・・(笑)。まあなんというか自分は2次 創作しておいて、その自分の2次創作作品の2次使用は許さないという、困ったちゃんのよくあるパターンではあります。
最近twitterで、「絶版になって入手が難しい別唐晶司氏の「メタリック」を今でも持ってます。テレビ版の攻殻機動隊にこの小 説のネタとそっくりなエピソードがあります。」 というのを見つけました。もし本当ならわたしとしては嬉しい限りです。そもそも、「メタリック」自体が士郎正宗からの影響を強く受けていますので(かれの 擬態などはフチコマそのものです)、それが今度は逆に攻殻機動隊に影響を与えたのならそれはそれで面白いですし、わたしとしては光栄なことです。肝心なこ とは、2次創作したならそれはそれで原典には敬意を示し、自分の2次創作作品の2次3次使用は許すという姿勢ではないでしょうか。JASRAC をはじめ、オリジナリティとか著作権とか声高に言うやつにろくなやつはいないというのがわたしの感想です。いかなる創作にしてもこの現代という時代性の影 響を受けているわけですから厳密な意味でのオリジナルなんて存在しません。あったとしたらそれはわたしたちには理解不能なものなのではないでしょうか。
ちなみに新井満さん、芥川賞作家なんですよね。まあいろいろな人がいるもんです。
日本酒「千の風」
新井満が商標登録してます。