2012年9月2日日曜日

棒歌ロイドとuinona

棒歌ロイドとは、主にゆっくり(softalk)を使って歌を歌わせた場合を指し示す呼び名である。

 映画でも本編よりもそのメイキングビデオの方が面白かったという例にいとまはありませんが、今回は「棒歌ロイド」を取り上げることになった経緯をそのままタイムラインのように書き連ねていきます。
まず、円城塔・伊藤計劃「屍者の帝国」をアマゾンで購入しそれが届いたのでwktkしつつ読もうかなと思っていたところ、ちょっと待て、車は急に止まれないではなくて、ニコ動チェックと思い、ランキングなどを閲覧したところ、一位に初音ミク生誕5周年を祝う動画があがっていた(ミクの誕生日は8月31日です)のでそれを視聴したところ、懐かしいミク曲がいっぱいで、なんてすばらしい動画なんだと感激してしまい、で、そのなかに取り上げられた曲のひとつに、小林オニキスPの「サイハテ」があったので、なぜか無性に元スーパーカーのフルカワミキが歌ってみた「サイハテ」を聴きたくなり、早速聴いてみたところ、同じ「サイハテ」タグの歌ってみた曲のなかにuinonaの「サイハテ」もあったので、これも久々だあと思って聴きました。わたし的には、「サイハテ」は、uinona>フルカワミキ>ミクの順番でよいと思ってます。下にミクの「サイハテ」を貼りました(YouTube版です)。uinonaとフルカワミキのやつも貼りたかったのですが、YouTubeでは見当たりませんでした。視聴したい方はニコ動で見つけてください。


で、このuinonaの「サイハテ」を視聴したところ、他のオリジナル曲があることがわかりました。で、それを視聴してみてびっくり!
めちゃくちゃいい!!!
そのひとつに「ゆっくりしていってね」でお馴染みのゆっくりの声を使った曲があり、それがなんともこのゆっくりの声に合っていてすばらしいのです。


いかがでしょうか?
ゆっくりの声を使用した楽曲というのは結構あるのですが、ここまでうまくフィットした曲は初めてです。ゆっくりのヤル気のない気怠い感じと歌詞とメロディが見事なはハーモニーを奏でているではありませんか!
uinonaはmmmbopさんと夢見るPさんのユニットでプロのユニットです。基本的にはボーカルは女性の方が担当しているのですが、ボカロ版をニコ動にうpしてくれてます。
で、彼らの曲で、「there]という曲はゆっくり版と自前歌版とが視聴できます。下に貼りました。



正直言って、どちらもすばらしい!
で、これらを聴いてみて思うことは、スーパーカーが好きな人は同意してくれると思うのですが、やはりなんとなくスーパーカーの曲調に似てねえ?ということです。でも結局、わたしはこういう感じの曲が好きなのだなあと納得するだけです。かといって、この曲調はJAシーザーとは似ても似つかなく、Blood Stain Childともまったく違うし、他のわたしの大好きな曲たちとも違うのですが・・・でも、こういう曲も大好きなのです。
で、ゆっくりのすばらしい曲に出会えた感動とともに、それを創作してくれたuinonaに感謝すべく最後に彼らのオリジナル曲をもうひとつ貼ります。これもすばらしいです。なんにも考えずにぼっーーと何度も何度もループして聴き返したいと思います。


ということで、心地良い曲を浴びたあとは、いよいよ「屍者の帝国」です。
とその前に、最後に最も有名と思われる棒歌ロイド曲を貼っておきます。
これを聴いて、皆さんもあくせくすることなくゆっくりと生きていきましょう、なんて。

 

2012年8月19日日曜日

イルカの夢でさようなら

「イルカの夢でさようなら」とは、ATOLSが作ったwebサイト。
インターネット上で検索してはいけない言葉のひとつ。
このサイトが何をしようとしているのかは不明。
イルカの夢でさようなら」という不気味なサイトがあります。18禁で、トップページに出てきた女の子をクリックしていくと虐殺が始まり、更に続けていくと生き返ります。その後は、不気味な四角形がいくつも出てきてそれらをクリックするといろいろなものが出てきます。どれもなんとなく不気味なもので人によっては苦手に感じる方もいるものと思われます。わたしは苦手というわけでもなく、まあなんとはなしに面白く閲覧させていただきました。ひとつの四角形をクリックすると馴染みの「膣外射精」というアート系のサイトがリンクされていたりして趣味嗜好が似ているのかなとも思ったりしました。
で、今回、話題にしたいのはこの「イルカの夢でさようなら」ではなく、このサイトの作成者であるATOLSさんについてです。
このサイトだけを見るとなんて変人なんだろうと思われると思うのですが、とにかくこのサイトのことは忘れて下の曲を聴いてみてください。


どうですか?
これはATOLSさんの最新曲です。この方の本職は音楽家で、セミプロのような感じです。わたしが知ったのは、ニコ動のボカロからです。ニコ動やYouTubeにボカロ曲をいくつか発表しています。どれも素晴らしいできです。曲調はテクノという感じですが、昔の曲はインストだけのものもありプログレっぽい感じもします。マカロンはちょっと偏執狂的な感じもあり、「イルカの夢で・・」との共通項も若干垣間見れるような気もしますが、次の曲になるとそんなものも皆無のような気がします。


ミクのベース姿がかっこいいですねえ。それに最後の疾駆していく姿!マカロンに比べると普通っぽい感じですが、でもでもやはりATOLS節という感じもします。でもおそらくこの曲はATOLSさんにしてみれば解りやすい方向にスライドしたひとつの成長を示す作品といえるかもしれません。で、次の曲。


実はこれがわたしの一番のお気に入りなのですが、これがATOLSさんの楽曲の基本的な方向性なのではないかと勝手に解釈している次第です。とにかく、どの曲も実験的ですばらしいものばかりです。ニコ動がなければATOLSさんを知ることもなかったのですからやはりニコ動に感謝です。ニコ動の会員になってから本当に音楽を聴く回数が増えました。それはやはり情報収集が容易になったこともあり、また、ボカロを通じて、素人の作った曲がこんなに素晴らしいものが沢山あることがわかったこともあるのだと思います。素人、つまりプロになるための変な個性の消失、つまりそれはより多く売れるための最大公約数的なものへの歩み寄りというものがないだけ、より純で変で洗練されていないものに多く接することができ、しかしそのなかに珠玉の作品が隠れていることがわかったということは大変ありがたいことに違いありません。はっきり言って、最近はボカロの方が先鋭的な作品が多いような気がするのですがどうなんでしょう。FMラジオから流れてくるJPOPなどを聞き流すにつれ「糞みたいな曲ばかり」だなあと感じるのはわたしだけではないような気がするのですが(中田ヤスタカもちょっと疲れ気味のような気がします)。
で、ATOLSさんの曲を聴いていて、無性に聴きたくなったのが、有名なボカロ曲「サイバーサンダーサイダー」。この作者のEZFGさんの才能にも驚愕するのみですが、本人はいたって気の抜けた感じで好きなものを好きに作っていくというスタンスみたいですねえ。このような曲はボカロというものがなかったら誕生していなかったと考えると本当にボカロの偉大さを痛感するのみです。下に貼りました。


最後に蛇足で、新潮の今月号に木下古栗という作家の作品が掲載されており、短編でしたので気軽に読んだところ意外に面白く、それよりなにより茂木健一郎を見事にディスっていたのに喝采してしまいました。わたしも茂木さんは生理的に嫌いなので。でもあんなにあからさまにディスって大丈夫なのかなあ・・・・茂木さんなら許してくれるかなwww

2012年7月31日火曜日

森岡正博と天使と

森岡 正博(もりおか まさひろ)は、日本の哲学者・大阪府立大学教授
生と死を総合的に探求する生命学を提唱。代表的な著作は『無痛文明論』など。
(Wikipediaより)

twitterは、主にロム専で活用していますが、時には自分がフォローしている人から面白いあるいはレアで貴重な情報が入手できることもありまあまあ面白いツールと思っています。自分から何かを呟くことは滅多にありませんが・・・・。そんなふうなで、twitterと付き合っていると先日思わぬ出会いに遭遇しました。わたしがフォローしている誰かが、リツイートしたものと思われますが、そこに森岡正博さんの名前を見つけたのです。森岡さんの名前を発見したとたんに、わたしの脳裏には、なぜかパトリック・ボカウノスキー監督「L'Ange(天使)」が明滅したのでした。
そもそもわたしと森岡さんの出会いは、当時(95年頃)産経新聞文化部の河村直哉さんの紹介によるものでした。河村さんは、拙著「メタリック」を気に入ってくれ、当時ちょうど始まろうとしていた脳死患者からの心臓移植をテーマにしたエッセイをわたしに依頼してきました。そのエッセイとは、別唐晶司HPの雑文ページに載っている「脳移植という近未来」です。河村さんは、確かその後、産経新聞社を辞し、何冊か自著を出版なされたと覚えているのですが、現在どうしているのかは知りません。どうしてるんだろう?
その河村さんが、おそらく「脳移植という近未来」というエッセイでわたしに関心を抱いてくれた人として(あるいは「メタリック」で興味をもってもらったのかもしれない・・うるおぼえですみません)、森岡さんを紹介してくれたのでした。
で、森岡さん、河村さん、わたしと3人で、四条木屋町界隈の京料理屋で会食したのですが、その時の会話の内容などはほとんど覚えていません。会って話して受けた森岡さんの印象は、「女性的」というものでした。なぜでしょう?・・・今思い出してもよくわからないのですが、小柄で女性的な身体線、優しい視線、柔らかな喋り方、うーーむ、どうもそんなところからわたしには「女性的」という印象が強く残っているのだと思います。当時同じような印象をもっていたのは、「メタリック」の担当編集者で、現在「新潮」編集長の矢野さんで、森岡さんも矢野さんも女性的なイメージとそこに付加された圧倒的な知識量と尖った感性にわたしは「こんなひともいるもんなんだ」と感心するばかりでした。もしかしたらこの二人のイメージに浅田彰のイメージも重なるのかもしれませんが、わたしは実際に浅田さんとは会ったことがありませんのであくまで想像の域を出ませんが。
森岡さんは、当時、京都の国際日本文化研究センターで助手をなさっておられ、そこでセミナーのようなものを定期的に開催されておられ、わたしも一度参加した記憶があります。そのセミナーでは、確か尾崎豊論のようなことを皆で話し合っており、わたしは尾崎豊は大嫌いなので、どうもなんというか胡散臭いセミナーに参加してしまったと初めは後悔したのですが、森岡さんや他の参加者の尾崎豊論を聴いているうちに、少しは尾崎豊に共感できるとこもあるかなと錯覚してしまったようになった記憶があります(笑)。セミナーに参加したのは、結局はその一回きりで、森岡さんとも以来お会いすることなく、年月が流れていったのですが、森岡さんはその後、論壇に登場することも多くなり、ある時期はTVの「朝まで生テレビ」にも出演するようにもなり、また著書も数々と出版されるというようにその活躍にはめざましいものがあります。
ある日、新聞の書評欄を読んでいるとそこに森岡さんの著書「感じない男」が取り上げられていたので、興味をもったわたしは早速購入して読んでみたのですが、かなりのことまでカミング・アウトしておられ(カミング・アウトといっても、ゲイであることやエイズ感染者であることを表明したというようなことではなく、いわゆる男としてなかなか言い難いことをカミング・アウトしたということです。あしからず)、その内容というか、森岡さんの決意みたいなものにわたしはかなり驚いた思いがあります。
その後は、「草食系男子」という流行り言葉を生み出したり?のようなこともあったみたいですが、そのあたりはわたしは知らないままにスルーしてました(今回、森岡さんのwikiを読んで初めて知りました)。
で、話はtwitterに戻りますが、森岡さんの名前をみつけたわたしは早速森岡さんをフォローすることにしました。すると森岡さんから「すごい久しぶり」というような返答があり、わたしのことをおぼえてくれていることにわたしがびっくりしてしまいました。
その頃、ちょうどわたしはある講演会で山折哲雄さんの前座みたいな形で講演する機会があり、その時、山折さんの講演も拝聴し、最近自分が考えている「どうやって死ぬのが一番いいのか」ということの回答となるような貴重な示唆を伺えてよかったと思っていたのですが(当ブログの前エントリーに記事があります)、この山折さんと森岡さんは日文研で職場を共にしており、つい最近は「救いとは何か」という共著書を発表なされたところです。なんというタイミングの良さ!もちろん、わたしは早速この著書を購入し、拝読させていただきました。感想は・・・森岡さんの生命学という立場と山折さんの宗教学という立場からの話があるところでは一致しているようで、またあるところではうまく咬み合わないようで、その微妙な齟齬というものがとても興味深く思われました。現在のわたしは特に救いを求めているわけではないので(関心があるのは死に方だけです)、わたし自身もお二人の話にどうもうまく入っていけない感じもありましたが、それはそれとして十分に読み応えのある本でした。
森岡さんの専門とする生命学なるものはわたしの専門である医学と重なりあう面も多いのでこれからも注視して、森岡さんの仕事を追っていきたいと思います。
で、なぜ「天使」か?
初めてお会いした時、二人が共に面白いと意見が一致した作品がパトリック・ボカウノスキー監督作品の「L'Ange」だったのです。そして、このことだけをなぜかわたしは鮮明に記憶しているのです。80年代中頃、わたしはこの作品を京大西部講堂で視聴し大感激してしまい、一方、森岡さんは東京のイメージフォーラムで視聴して感動したとのことでした。
尾崎豊ではまったく好みの別れる二人ですが、「天使」では見事な一致を示しました。
で、この「L'Ange」ですが、わたしは当時イメージフォーラム社から通販でヴィデオを購入して現在も大切に所有しているのですが、今やこんなレアな映像も簡単にYouTubeで観れるのですね。ほんと、うらやましい限りです。下に貼っておきました。わたしは、この作品、映像でトランス状態を惹起することを試みた実験映画と解釈しています。とにかくすばらしいです。ぜひご視聴を!


パトリック・ボカウノスキー監督作品 「L'Ange(天使)」 

2012年7月9日月曜日

ヤンデロイド

ヤンデロイドとは、“病んでるVOCALOID”の総称である。

最近、このヤンデロイドの楽曲を多く発表しているselePというボカロPさんに夢中になっています。もともと、ヤンデレというカテゴリーには興味があり、東方キャラでもこれをヤンデレに改変したら面白いだろうなというのはあったりしたのですが、まあ心中で思うだけで、現実のヤンデレにはできれば会いたくないなというのが本音です。
で、このselePさんのヤンデロイド曲は、B級臭がとても強く、わたし好みの楽曲に見事に仕上がっています。映画にしても小説にしても、この「B級」という表現はわたしにとっては賛辞といえるものですので、間違えないようにしてください。B級映画監督園子温は大好きですし、同様にB級映画監督ジョン・カーペンターも大大大好きです。で、キューブリックは特A監督で、タルコフスキーも特A、小津も特A、フェリー二とルコントはA級で、長谷川和彦は特B!なんて勝手なことを書いてますがそれぞれの確たる根拠などはありません。
まずは、selePさんの最新作をどうぞ!


 
IAオリジナル曲 『Re;BIRTH』

なんというかこの導入部の安っぽさ(失礼・・)というか軽快さはすばらしいではないですか!!もう最初から心ウキウキです(笑)。で、ヤンデレの歌詞がPCゲームのBGMのようなメロディーにのせてボカロによって歌われていく・・・うーーー、言うことなしです。すばらしいです。特に、ヤンデレのような一見冷たく感情のない表現には、ボカロが合っているのですね。
ヤンデロイド最強!です。
でもヤンデロイドで動画をググるとちょっと傾向の違う楽曲が沢山抽出されます。歌詞は確かにヤンデレですが、メロディーは普通というか、東方してません(笑)。そうです、selePさんのメロディーは東方のZUNさんに通じるものがあるのです。アリプロっぽいと指摘する声もありますが、まあ似たもの同士ということでいいのかもしれません。ですから東方がヤンデレに向いているのも理解できるのです。ローゼンメイデンってヤンデレでしたっけ?
ともかく、わたしにとっては、selePさんこそ、ヤンデロイドを最も的確に表現するボカロPということになります。ということで、もう一曲。

 VOCALOID IA『Ref-Rain』

なんか最初の曲と似てますよね。
ニコ動ではselePさんの曲(50曲あまり)をすべて聴くことができます。で、聴いてわかることはすべての曲にseleP節という通奏低音というか同じ血が流れているということです。以前紹介したボカロPのシオンさんもそうでした。これは創作者にとっては否定することのできない宿命です。Phenotypeが変わってもGenotypeはいっしょのため、そこに流れる根源的な共通項がどうしても観察者に嗅ぎとってしまわれる。それゆえに、絶大なる支援者というのが付くわけです。この創作におけるGenotypeというものにどこまで惹きつけられるか、それがその作者をどこまで好きになるかということと結びついています。
作家でいうとこれは文体になるのかもしれません。この文体をいじった面白いコピペが以下のものです。有名なので皆さん知っていると思いますが、敢えて転載しておきます。

 ◆小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚きながら振り返った。」
◆ケータイ小説 
 「ドカーン!びっくりして俺は振り返った。」
◆ラノベ
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とか
そういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである」
◆山田悠介
「後ろで大きな爆発音の音がした。俺はびっくりして驚いた。振り返った。」
◆司馬遼太郎 
 「(爆発--)であった。余談だが、日本に初めて兵器としての火薬がもたらされたのは元寇の頃である…」
◆荒木飛呂彦
 「背後から『爆発』だアァァァッ!これを待っていたっ!振り返ると同時にッ!すかさず叩きこむ!」
◆村上龍
「後ろで爆発音がした、汚い猫が逃げる、乞食の老婆が嘔吐して吐瀉物が足にかかる、
 俺はその中のトマトを思い切り踏み潰し、振り返った。」
◆奈須きのこ
「爆発があったのは昨日のことだっただろうか。
――突如、背後から爆発音が鳴り響いた。その刹那、俺はダレよりも疾く振り返る―――ッ!」
◆矢口真里 
「子供の頃からボンバーマンが大好きで、爆発音がしたらつい後ろを向いちゃうんです。多分、芸能界では一番マニアックなボンバーマン好きだと思いますよ。
◆京極夏彦
「凄まじい音とともに地面が揺れる。――爆発、ですか?私が問うと、
 彼は白湯とさして変わらぬ出涸らしをすすり、
――だから何だと言うのか。と答えた。りん、と、何処かで風鈴の音がした。」
 ◆村上春樹
「爆発というものを想像するとき、
僕は夏の夜に流れる星のイメージに捕らわれる。
それは恐ろしく儚く、そして短い生命なのだ。だから、僕は常に混乱する」
 ◆夢野久作
「……ドオオ―――ンンン――――ンンンン……………。
いやいや。バクハツだバクハツだ……そんな馬鹿な……
不思議な事が……アハハハ……。
私は振り返り、思わず笑いかけたが、
その笑いは私の顔面筋肉に凍り付いたまま動かなくなった。」
 ◆夏目漱石
「後ろからぼかん、という音がした。
我輩はまた白君がどこぞの酒屋の一斗缶を倒したのかとおもうと、
どうもちがうらしい。
ちらと音のしたほうを振り返ると同時に、
硝煙が我輩の鼻をくすぐった。」


いかがでしょうか?
なんかうまく特徴をとらえているような気がします。これすべて一般の人の創作です。一般といっても何が一般なのかわかりませんが(笑)。
話が変な方向へ向かってしまい、すいません。で、元に戻すべく、もう一曲紹介。これは最近ニコ動でランキング上位になったボカロです。

 
【初音ミク】こちら、幸福安心委員会です。【オリジナル】 
 
すごくありません?
本当はニコ動でコメントといっしょに視聴する方がもっともっと感動するのですが、とにかくすばらしいです。で、こういう曲がまだランキング上位に来るということはいまだにニコ動会員のレベルの高さを保証しているような気がします。ニコ動の会員数もかなり増えたので最近のランキングに上がってくる作品の質の低下を危惧していたところなのですが、まだまだ大丈夫みたいです。まあそれよりランキング上位にはない、一部のマニアにのみ指示されている珠玉の作品を見つけることがニコ動の醍醐味なのですが。そしてそういうものが必ずあるというのが、既存メディアとの違いといえます。
なんともとりとめもなく駄文を書き連ねてしまいました。
今回はこのあたりで。



2012年6月17日日曜日

JAシーザーからボカロへ、そして丸尾末広

J・A・シーザー(本名:寺原 孝明、1948年10月6日 - )は、日本の作曲家、作詞家、演出家。
演劇実験室◎万有引力主宰者。宮崎県生まれ、静岡県育ち。
1969年上京。後に寺山修司に出会い「演劇実験室・天井桟敷」に入団、音楽と演出を担当。
1983年、自ら「演劇実験室◎万有引力」を結成。

 本日、なんとなくシーザーの名曲「バーチャルスター発生学」(少女革命ウテナのエンディング曲)を聴きたくなり、YouTubeで聴いたところ無性にこの曲で東方MMDによるKINETICTYPOGRAPHYの動画を作りたくなったのですが、現在進行中の東方MMDによるヘヴィメタ作品が完成もしていないので、まずはこれを完成させてからと自分に言い聞かせました。
とにかく、この「バーチャルスター発生学」の歌詞は鮮烈です。といってもシーザーの曲はどれも歌詞がすごいのですが、天井桟敷時代はその歌詞はもちろん寺山修司によるものでしたが、寺山亡き後は、シーザー自身が作詞もしているようです。そして、そのためか歌詞はどんどん過激になっているような気がします。
とにかく、まずは「バーチャルスター発生学」を視聴下さい。


うーーん、すばらしいです。
ついでにこの少女革命ウテナで一番有名な曲「絶対運命黙示録」もどうぞ。


メロディーはシーザー特有の呪術的な感じで、歌詞はなんじゃこりゃ?というような奇妙奇天烈なもの(由来を知ればそうではないことがわかるのですが)です。
まさにシーザーワールド全開です。
で、この「バーチャルスター発生学」をボカロでアレンジしてる人いないかなあと思い、ニコ動で探すといたんですよね。すばらしいです。そのアレンジもすばらしい!


で、この他にもないかなあと思っていたらなんとすごいお方がいました!
シーザーの曲ばっかりボカロでアレンジしているのですよ。
まずはこれをどうぞ!


で、これの原曲は寺山修司監督映画「田園に死す」でのオープニング曲です。


おどろおどろしさが消えて、なんか良い感じにアレンジされていると思いました。
このPさんの他のシーザー曲のアレンジすべてすばらしいです。
ぜひご一聴を!
そしてJAシーザーの世界に踏み込むキッカケになっていただければと思います。

わたしとシーザーの出会いはもちろん天井桟敷を経由したもので、それゆえ天井桟敷時代のシーザーの曲はほぼ知っているのですが、万有引力時代のものはあまり聴いていませんでした(少女革命ウテナは除く。これはかなり流行ったのでよく知っているのです)のでこうやって新たなシーザーの曲を聴くにつけ、シーザー節健在!とうれしくなってしまいます。 今後もシーザーフリークが増えてくれればと思います。ほんと、こんな音楽家、世界中になかなかいないですよ!!!

で、シーザーボカロを聴いていたらなぜか丸尾末広原作「少女椿」のアニメフィルムをニコ動で見つけてしまいました。漫画はもちろん読んでましたが、アニメがあったとは・・・。で、音楽はJAシーザー。まあ、丸尾末広の世界は天井桟敷の世界に通じますので、JAシーザーが音楽担当は至極真っ当だと思えます。で、このアニメ・・・まあすごいです。面白いのはコメント。ニコ動の若い視聴者にはかなりとまどう類のアニメみたいでそのとまどいぶりがよくわかって面白いです。これもぜひお勧め!
ちなみに、殆どの眼科医が読んでいるある製薬メーカーの季刊誌の50周年記念号で巻頭のお祝いの文章を書かせていただいたのですが、そこでわたしが眼科医になった理由を、「藤枝静男とバタイユと丸尾末広の影響」と書いたのですが、それを真に受けて「丸尾末広」をググって調べた眼科医たちが一様に「見てはいけないものを見てしまった」というような感想を述べたのが面白かったです。それくらい丸尾末広が好きです。ちなみに花輪和一も好きで、ちびまる子ちゃんの丸尾くんと花輪くんの名前の由来はここみたいですね。さくらももこは、丸尾末広と花輪和一が好きという結構マニアックな漫画家だったのですね。これ最近知りました。
ともあれ、「少女椿」ぜひご視聴を!
下のリンクは5部に分けているものの第一部です。2〜5は、少女椿2/5というようにわかりやすく書かれています。それから1部は、視聴できないカットが多くてやや見づらいですが、2〜5はそういうことはありませんのであしからず。



なお、下記のリンクからの動画はまったくカットなしのフルバージョンを視聴できます。
でもやはり皆のコメントとともに観るほうがなんか救われます(笑)。

少女椿



2012年6月14日木曜日

謎の彼女X

謎の彼女X』(なぞのかのじょ エックス)は、植草理一による恋愛漫画作品。「月刊アフタヌーン」(講談社)に2004年10月号に掲載された読切作品『謎の彼女X』を第0話として、2006年5月号より連載されている。2012年4月現在、単行本は8巻まで刊行されている。2012年4月よりテレビアニメが放送中。

 昨年は、「魔法少女まどか☆マギカ」「シュタインズ・ゲート」といった珠玉の作品に出会えたアニメでしたが、今年はそういった作品になかなか出会えず、どうももやもやした感じだったのですが、それも「謎の彼女X」の登場によって解消されました。もちろん、視聴はニコ動でしているのですが、「アニメはニコ動で視聴」というのがおそらく今後王道になると思われます。あのコメントがないとどうもアニメを観ているという実感が湧かないのです。今後はすべてのアニメがニコ動で視聴できるようになってほしいものです。

で、話は「謎の彼女X」に戻って・・・・
このアニメ、かなり変です。ポイントは、「唾液」なのですが、それ以外もあらゆるところで「フェティシュ」ということが強調されます。舞台は高校なのですが、どうも作者の年齢を反映して、80年代の高校生のようで、それもまたわたしのようなおじさんには親近感が湧きやすくなるのだと思います。
とにかく変・・・でも、普通、でも、なんか惹きつけられる・・・うううっ、中毒みたいな・・・というのがこのアニメの感想です。
「シュタインズ・ゲート」のような退屈な回というのはありません。普通の高校生の日常を描いているだけですが、すべての回が神回です。声優さんの声もすばらしく特に主人公卜部美琴の声はなんか大人っぽい変な艶があっていいです。この声優さん、本職は女優みたいですが、よく知りません。
1期で終わるのか・・・・できれば2期も観てみたい気がします。いや、絶対に観たい!です。

他のアニメとしては、Fate/Zeroは1期の途中で観るのを諦め、2期も最初2話は観ましたが以降中断したままです。アクセル・ワールドは前評判が高かったので観ましたが、1話で終わりました。這いよれ!ニャル子さんは、ラブクラフトのクトゥルー神話を素材にしているようでそれほどでもないようで、結構ペダントリックなアニメですがただそれだけであまり内容は面白いとは感じませんでした。一応、5話くらいまでは視聴しましたが、そのあたりで自然に止めました。そんなアニメです。
そうそう、昨年「へうげもの」を観てから歴史アニメに興味を抱くようになり、最近、漫画で「シグルイ」を読みました。これはなかなかエグい漫画でとても面白かったです。アニメにもなっているようですが、おそらくTV放映できる範囲のエグさではその良さが殆ど消されてしまっているかもしれません。この漫画は漫画で楽しむのが一番かもしれません。

2012年5月15日火曜日

おめでとう、マンチェスター・シティ!

歓喜するマンチェスター・シティの選手たち
中央コンパニ、その左横監督マンチーニ、その左横バロテッリ

プレミアリーグの最終節が日曜日に開催され、劇的な幕切れを迎えました。
そうあまりに劇的な!
わたしはJ-sportでTV観戦しておりました。前半にマンチェスター・シティが得点した段階で、もうこれはシティの勝ちで決まりと確信しました。なにせ前半のボールポゼッションはシティ80%、QPR20%と圧倒的にシティの一方的な試合でしたので。このままのボールポゼッションで後半も試合をすすめていけばほぼ間違いなく勝利はシティのものになるはずというのは誰もが想像するに難くないことのように思われました。
ただ、ただ・・・先日のチャンピオンズリーグでのバルサVSチェルシーのことが脳裏をよぎりました。つまらないミスがなければ・・・・。
で、あろうことか、後半早々に、このつまらないミスがシティにおこってしまうのです。そのミスを逃さないのがQPRのシセ!見事にゴールを決めてしまいました。
1対1のスコア・・・・それでもまだ30分以上あるし、 もう1点はなんとかなるんではという期待をもって、試合をみてました。
するとなんということでしょうwwwwQPRの悪童バートンがシティのテベスに肘打ちを食わせてレッドカードで退場となったのです。退場の際には、バートンにシティの問題児バロテッリが食いかかっていく場面もありドラマとしてはとても面白い演出となっていきました。10人となったQPRは、チャンピオンズリーグでテリーの退場によって10人となったチェルシーのように完全に自陣に引いて、ゴールを固める策に徹し、これによってわたしにはあのバルサVSチェルシー戦の悪夢がまた頭をよぎったのでした。
このままシティは得点できずに引き分けのままで終わる・・・。
そしてマンチェスター・ユナイテッドはサンダランドを破って勝利し、プレミアリーグの覇者はユナイテッドに決定!
なんという悪夢!
そんなことを考えているうちに事態はさらに深刻に!
な、なんと10人になったQPRがカウンター攻撃でさらに得点してしまうのです!
オーマイガー!ですよ。
TVに映るシティサポーターは涙を浮かべてますよ。
1対2となってしまい、これでシティは残り20分で2点得点しなければならなくなったのです。でもシティの攻撃力ならなんとかなるのでは・・・なんて、ちょっとは思いましたがそれよりもわたしにはバルサVSチェルシーの結果が思い出されるだけで、今期はどのリーグもこういう結果になるのだと諦観したのでした。つまり、必ずしも強いチームが勝利するわけではないという・・・まあ当たり前のことであるのですが、それが如実に現れたのが今期のfootballなんだと。
ほとんどシティの勝利を諦めてわたしはそれでも1%の奇跡を信じて試合を観戦しました。
が、シティは何度も決定機を迎えるものの決めることができないという負け試合の典型的なパターンを繰り返すのみで、これはもう完全に負け試合だと確信に至るだけでした。
それが・・・・。
後半の追加タイム5分に入って、その1分後にシルバ(わたしのお気に入り!)の蹴ったコーナーキックをジェコがヘッドでゴールし、その2分後、悪童バロテッリの体を張ったアシストでアグエロが奇跡的なゴールを決めてしまうのです!
追加タイムに入って2得点で逆転勝ちというと99-00年のチャンピオンズリーグでのマンチェスター・ユナイテッドVSバイエルンでのユナイテッドの勝利を思い出しますが、それにも勝るとも劣らない大団円が待ち受けていたのです。
すげえーーーー!
このような試合をTV生観戦できたことを幸せに思います。
素直にシティにはおめでとうと言いたいです。
そして、ユナイテッドざまあーーー!wwww
でも来季、ユナイテッドに香川が入るという噂もあり、そうなったらユナイテッドもちょっと応援しようかなとも考えてしまいます。
ここまで書き連ねました世紀のドラマを追体験したい方は以下のURLへ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm17826672
ニコ動ですので会員しか観れませんが、非常にお勧めです。