2014年10月19日日曜日

石森章太郎から大友克洋へ



1967年に『週刊少年マガジン』で連載開始となった漫画『幻魔大戦』(少年マガジン版)が最初の作品。
雑誌連載中および初期の単行本では、原作が「平井和正/いずみ・あすか」、作画が「石森章太郎」と
なっていたが、「いずみ・あすか」というのは石森の別名である。
しかし、少年マガジン版は、人類の破滅を示唆する形で打ち切りとなった。

 「アオイホノオ」の舞台となっていた80年台前半に、日本SFの世界では画期的な作品が生まれ出されました。それは大友克洋の「童夢」と「AKIRA」です。
「童夢」の単行本は83年発売、「AKIRA」は82年から連載開始でした。
「アオイホノオ」では宇宙戦艦ヤマトとかガンダムの名前が出てきますが、宇宙戦艦ヤマトは74年に放映された第一シリーズ以外はゴミだというのがわたしの持論で、第一シリーズも前半だけが観るべき価値があり、後半部分はどうでもいいと思っています(中学時代に初回放映を熱中して観ました。そして、後半になってどんどんと物語が崩れていく様を目にして、そして突然の終了とやりきれない思いを抱いた記憶があります)。ガンダムに至っては第一シリーズのOPとともに一貫してあまり興味はありませんでした。いやはやあのOP曲のダサさ加減が尋常ではなかったのです。それでも今聴くとなんとはなくそのダサさがいいように思えてきます(笑)。あの頃は、YMOやKRAFTWERKを始めとしてテクノ音楽の勃興期で、そういう音楽に興味のあるものが「戦え、戦え、ガンダム」なんていう曲を聴くと「おえーーー」となるのは自然な反応だと思うのですが・・・。
で、とにかくそういうSFアニメや漫画をいっぺんに淘汰してしまったのが、「童夢」なのです。この作品は第4回日本SF大賞を受賞しました。漫画としての初のSF大賞受賞でかなり話題になった記憶があります。
とにかくこの「童夢」は衝撃的でした。あらゆる場面が記憶に残っているのですが、下に貼った念動力が球状に伝わることをきちんと画にしたのは大友さんの童夢が初めてではなかったでしょうか。


 そして、それに続く「AKIRA」はさらにパワーアップして今や伝説の作品となっています。当時は本当に夢中になって「AKIRA」を読んでいたものでした。この「AKIRA」を読んでいる時に思ったのは、まずは登場人物のひとりマサル(下右)をみて、これはサイボーグ001ではないかと思ったのはわたしだけではないはずです。また、テツオもなんとなく「幻魔大戦」の東丈を連想させるものでした。


この83年に上映されたSF邦画アニメが「幻魔大戦」です。
漫画の「幻魔大戦」は、わたしは中学1年生の時に読んで熱狂したことをはっきりとおぼえています。あの頃は、中岡俊哉の書いた超能力関係本やノストラダムスの予言等に熱中しており、そんななかで「幻魔大戦」は驚異的にわたしの心中に感染してきました。
こんなに面白い漫画があるなんて、なんて最高なんだああ!と感激したのを覚えています。
ただし、この「幻魔大戦」も漫画の第一シリーズのみが読むに値するものです。
もう一人の原作者平井和正が小説でいろいろな幻魔大戦シリーズを書いています。新・幻魔大戦もあれば真・幻魔大戦もあります。もう滅茶苦茶です。わたしは馬鹿正直にすべての作品を購入して読みましたが、もうなにをかいわんやです。すべてが糞ですwwww
ですから幻魔大戦といえば石森章太郎の描いた漫画「幻魔大戦」を指すということでよろしいのではないかと思われます。
そういうわけで、わたしは角川映画アニメ「幻魔大戦」にはかなり期待していました。
アニメキャラクターを描いたのはなんと大友克洋です!しかも音楽はELPのキース・エマーソンですよ。こうなれば期待せざるをえないでしょう!
で、ワクワクして観賞にいきましたが、結果は残念・・・・。
期待したものとはかなり違うものになっていました。何が違うのかといわれると返答に窮するのですが、おそらくわたしの頭のなかに出来上がってしまっていた堅牢な幻魔大戦のイメージがあらゆる別のイメージを受け入れることを拒否しただけのことだと思います。
なにせ10代前半から熱狂していた漫画ですからそれはそれで仕方のないことのような気がします。


でもとにかくこの映画アニメ「幻魔大戦」が大友さんの「AKIRA」に強い影響を与えたのは間違いないでしょう。もちろん、サイボーグ009もそうですが。 このサイボーグ009の新しい映画版が一昨年公開されました。「009 RE:CYBORG」というやつです。わたしはもちろん観ましたが、確かに映像は格段に洗練化されており、サイボーグの各キャラは大人大人しており観賞に耐えうるものでしたが、話の筋がありきたりな感じで既にどこかで観たような感が満載で、そのあたりがどうもいまいちでした。映画全体としては、5点満点で3点というまあ普通のできではあります。下に、この映画「009 RE:CYBORG」の映像を利用して、TV版サイボーグ009のOPテーマ「誰がために」を流した映像を貼りました。この「誰がために」はとてもいいOP音楽です。当時のアニメのOPとしては出色の出来だったと思います。で、いいとこどりをした下の映像は素晴らしいの一言です。

 

で、サイボーグ009が新たな展開をみせているのと同様になんと「幻魔大戦」も新たに新作が書かれているのです!もちろん、石森章太郎作ではなく、平井和正作でもなく、です。このサイト(http://club.shogakukan.co.jp/book/detail-book/book_group_id/287/)で無料で読むことが可能です。さて、今後どのような展開をみせていくか楽しみですが、あまり期待はしないでおこうと思います(笑)。

ということで、83年には歴史的な作品が生み出されていき、そして翌年84年には宮﨑駿「風の谷のナウシカ」、押井守「うる星やつら;ビューティフル・ドリーマー」が公開されます。まさに、勃興期といえるでしょう。庵野はナウシカで巨神兵を描き、その後、幾つかの佳作を生み出した後、95年にエヴァを誕生させるのです。
あっ、それから「アオイホノオ」にはまったく登場しませんでしたが、当時の大阪芸大の島本和彦・庵野秀明との同級生には士郎正宗がいました。あの「攻殻機動隊」の士郎正宗です。なんと恵まれた学年ではありませんか!

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